DVASは光フォノアンプModel1、ヘッドホンアンプModel2をこれまでリリースしてきました。
自分が持っていないという理由で、これらのアイテムを開発してきましたが、おかげさまで賛同者にも恵まれ、販売台数も少しづつ上がってきました。
2024年はModel3をリリースしたいと考えており、どのジャンルの製品にするのか、Model2の発売後からずっと考えてきました。Model1もModel2もユーザーがプリアンプを所有している前提の製品ですから、この二台を直接つなげることはできません。最低限、何らかの音質調整機能を介する必要があります。
DVASというブランドとして、いずれは全ての製品がつながることを目標にする気持ちはあります。ゆえにModel3として、MCフォノイコライザーとかスピーカ用のパワーアンプなんてリリースしたら、またしても相互接続できないことになり、トータルサウンドに興味のないブランドと思われてしまうことでしょう(笑)
そこでModel3はModel1BとModel2のインターフェース、つまりプリアンプにしようと思っています。ご存知のようにプリアンプという分野は古今東西、キラ星のごとくに名機、銘品ぞろいで、そこに新規参入するというのは、かなりの覚悟とそれならではの付加価値を持つことが要求されます。
そもそも、プリアンプについて言うなら、私自身、自分の装置に相応の名品を組み込んでおり、日々満足してそれらの製品を愛用しています。だから、Model1やModel2が生まれた背景とはやや異なるわけです。
写真は「秋のヘッドフォン祭り2023」に出品した試作のラインアンプとパッシブフェーダーです。
どちらも必要に迫られて急遽作ったものです。
パッシブは東京光音電波のアッテネータを組み込んだだけの超シンプルなもので、特に創意工夫はありません。しかし、プリアンプの方は完全差動アンプによる全段バランス増幅回路で構成し、新規にプリント基板を設計して、Model1、Model2同様、表面実装型部品を搭載して組み上げています。こちらもボリュームには東京光音電波の2CP2508型を使っていますが、特殊な接続で使っており、信号経路に接点や摺動子が直列に介在しない設計をしています。電源もトロイダルトランス を左右独立で配置し、デュアル無帰還レギュレータでアンプに電力を供給しています。要は、そんぶんにDVASらしさを盛り込んであります。つまり、この時点でModel3の基礎検討用の習作という立ち位置で製作したデモ機なんです。ファンクションとしてはセレクターもその他の調整機能の一切ない、ボリュームのついたフラットゲインのアンプです。
昔からプリアンプは難しいとまことしやかに言われてきましたが、実際に自分で製品としてのプリアンプを設計して、初めてその言葉を実感しました。単機能のModel1やModel2は現在開発中のModel3に比べればはるかに様々なことを決断しやすい。プリアンプを名乗るからには最低限入力セレクターと音量調整機能は必須と考えています。もちろん、世の中にはファンダメンタルのプリアンプのようにセレクターすら持たない孤高のプリアンプもありますが、マルチソース派の私としては、その選択肢はありえません。
このセレクター機能の実現も簡単ではありませんが、それでもスイッチで切り替えるという根源的な動作はどのような方式であれ共通しています。音量調整機能がプリアンプの命ともいえるのですが、さらに必要な機能として何が考えられるか?この選択には迷いました。
歴史上の名品や自分が使っているプリアンプを眺めては、あの機能は欲しい、この機能はいらないと毎日、考えていました。しかも、それが日によってプライオリティが変わる(苦笑)
今年になって、ようやくいろいろなことに決心がつきました。
それはModel3は前にModel1(B)、後ろにModel2をつなげるときに最大の効果を発揮するアンプでなければならない、そこに思い至ったからです。すると、これまで決め兼ねていたアンプの全体像、つまり必要なファンクションがやっと見えてきたのです。ですが、Model1、Model2専用とか、そういうとんがったアンプではなく、普通のプリアンプとしての汎用性ももちろん重視して設計します。
とはいえ、まだまだ、今考えている仕様が最終製品に反映するか否か、開発の過程の中で紆余曲折はきっとあると思います。
今後はModel3の仕様の考え方、回路や構造などについて、開発のフェーズにそってお話していこうと思います。
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