弊社の製品の型名ですが、アンプ類はシンプルにModelXX(XXはリリース順の数字がはいる)となっています。モデル間の識別は数字だけであり、その数字からは具体的な製品がどのようなものであるのか、さっぱりわかりません。アクセサリーもリリースしておりますが、それらはアンプ類とは分けてArgent PhonoとかXR-ADPとか、もう少し具体的な製品を連想しやすい名称にしています。
業界の方から「もっと具体的な製品を連想しやすい型名にしてはどうか?」というご指摘を受けることもありますが、弊社の型名にはもちろん私の強い思いれがあります。
取材などでお話することも多いのですが、弊社は毎年一機種づつアンプ関連製品をリリースしたいと考えています。具体的なマイルストーンも考えないわけではないのですが、Model1とModel2がリリース時期を逆転した段階で、先のことは決めてもあまり意味がないと思い知り、とりあえず手掛けているモデルが完成したら、来年の機種くらいは決めていこうと考えるようになりました。先日、鳥居先生に書いてもらったStereo Sound ONLINEの記事中の「なにやら行き当たりばったりの開発」というのは当たらずも遠からずなんです。
製品のリリースは自社の歴史そのものですから、製品が具体的な製品のジャンルを連想するよりも、DVASが何番目にリリースした製品なのか?そちらを重視した型名にしたいと考えており、その結果、ModelXXという今時ほとんど見かけない製品名にしました。
単純にリリース順をあらわすだけですので、どんなジャンルのアンプなのか?グレードはどうなのか?そういった要素は全く表現できません。リリース順をあらわすだけなら、社名であるDVASの後ろに数字を重ねる、例えばModel1ならばDVAS1でも良かったのではないか?と思われるかもしれませんが、実はこのModelという名称にも思い入れがあります。
社名と数字を組み合わせた有名な例としてはマークレビンソンがありますね。ML1、ML2、ML3、ML6等々。ML4はプリで試作まではやったみたいですが、結局リリースされませんでした。ML5はオープンリールデッキとしていろいろな文献にでてきますが、製品化されたかどうかは私にはわかりません。ML7はプリとして有名ですが、実は当初はルボックスB77をベースとしたオープンデッキの型名であったことは案外知られていません。
話がそれましたが、ModelXXという型名にしたのは、私にとって、とても思い出深いブランドに影響されたからです。もうお気づきだと思いますが、そのブランドとはMarantzです。
写真は、7年ほど前に友人から借用していたMarantz7SEを装置に組み込んで、SP-LE8Tを鳴らしていた時のものです。奥の方にRD-A1がありますね(笑)
Marantzと言っても今のマランツではなく、ソウル・マランツとシドニー・スミスが現役だった時代、すなわちマランツ・カンパニーの時代です。アンプの裏に設計者あり、というのを最初に意識したのは何を隠そう、ソウル・マランツ&シドニー・スミス、そしてフランク・マッキントッシュとゴードン・ガウの4人でした。彼らの存在を知ったのは確か私が高校生の時に購入した小学館が発売していたFMレコパルの別冊に出ていた読み切り漫画でした。二人の若きアンプデザイナーがソウル・マランツ&シドニー・スミス、フランク・マッキントッシュ&ゴードン・ガウと出会い、成長していくという胸熱の作品でした。
それまで、アンプというのは会社が作るものという意識が強くあったのですが、この漫画でマランツとマッキントッシュを知って以降、アンプを創るのは会社ではなく人であるという真実にたどり着きました。ずいぶん、早熟した高校生でした(笑)
そんなマランツカンパニー時代の製品型名こそ、ModelXXというリリース順の名称であったのです。実際にはスーパースコープ傘下に入って以降もModelXXの型名はしばらく続きますが、結局、ソウル・マランツとシドニー・スミスの作品はModel10Bをもって終わったということが、なにやらキリが良くてカッコよく感じたわけです。
マランツカンパニーの製品は私の記憶が確かなら、
Model1(プリ)
Model2(モノラルパワー)
Model3、Model4(欠番)
Model5(モノラルパワー)
Model6(Model1用ステレオアダプター)
Model7(ご存じ超有名プリ)
Model8(パワー)
Model9(モノラルパワー)
Model10(FMチューナー)
というラインナップだったと思います。
長い歴史の変遷の結果、マランツカンパニーのアンプたちはModelXXという呼称よりもマランツXXと呼称されるようになりました。
DVASの製品も20年後、30年後にMode1というよりもDVAS1として語り継がれる、そんなアンプになってほしいという思いを込めて、あえてModelXXという型名にしたのです。
Model2もようやく発売し、おかげさまでオーダーもいただいております。当然、Model3も開発を開始しており、時期が来ましたら詳細をお話したいと思います。
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