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dvas9900

XLR-RCA変換

DVAS Model1の出力端子はバランス出力が一系統です。


出力回路は完全差動アンプですので、出力はネガティブとポジティブの相互に位相反転した信号を出力するフルバランス出力になっています。極性は2番ホット(ポジティブ)で3番コールド(ネガティブ)です。


この形式の効果を最大限に活かすためには、少なくとも二芯シールドのバランスケーブルを用いてフルバランス対応の入力回路をもつプリアンプと接続していただくことが必要です。


バランス接続はもともと業務用オーディオの世界でデフォルトとして存在した接続形態で、長距離の伝送でもケーブルからのノイズの混入の少ない方式として運用されてきました。オーディオマニアの中でも有名なEMT930stやスチューダーA730などは本来業務用ですので、600Ωのバランス受けを前提に設計されており、どちらの機種も出力トランスによるフルバランス出力を備えています。コンシューマの世界でバランス接続が認知されてきたのは90年代からでしょうか?プロの世界では出力トランスと入力トランスを介して接続することが標準でしたが、ご存じのように優れた入出力トランスは非常に高価であり、いつのころからか安価な業務用機器ではトランスレスのバランス接続が当たり前になってきました。コンシューマユースにおいては、ほとんどがトランスレスのバランス接続となっています。


フルバランスの入力と出力を接続する場合にはもちろん問題はありませんが、実はXLR端子を有する機器であっても、単にXLRコネクターが装備されているだけで、アンプの中身はもちろん、出力信号もポジティブ出力のみのアンバランス増幅&アンバランス出力である機器が非常に多いのです。


バランス出力回路をアンバランスの入力機器に接続する場合、市販のアダプタを使うとネガティブ出力がGNDに終端される接続が一般的です。トランス式のバランス出力回路であれば、そのような変換アダプタを使っても何も問題はありませんが、トランスレス方式のバランス回路をアンバランス入力に接続する場合は注意が必要です。それはバランス回路のネガティブ側がGNDに接続されるため、アンプの回路によっては過電流のためアンプが壊れたり、壊れないにしてもネガティブ側とポジティブ側の負荷が大きく異なるため、出力段の電流が大きくずれてしまいます。こうなるとアンプ内部の動作としてもバランス動作とは言いにくくなってしまい、きちんと使った場合に比して音質も劣化することが多いようです。


そういうこともあり、メーカーによってはXLR-RCA変換プラグを使ってバランス出力をアンバランス出力に変換することを厳しく警告しているメーカーもあります。一方、トランスレスであっても、アンバランス回路との接続を考慮し、ネガティブ側がショートされても、正しい動作をするような巧妙な出力ICも存在します。こういうデバイスであれば、安心してアンバランス入力の機器とも接続することができます。残念ながらModel1の出力アンプはそのような構成にはなっておりませんが、このような使い方をしても、終段のデバイスが壊れるようなことはもちろんありません。しかし、正しくバランス接続された状態に比して、想定した動作とは異なるため、音質も本来の音質とは違ってしまいます。


とはいえ、お客様の誰もがフルバランス入力のプリアンプをお使いであるわけではなく、アンバランスのプリアンプをお使いの方もたくさんいらっしゃいます。何しろ、私自身、自宅のメイン装置のプリアンプはマークレビンソンLNP2Lですので、完全なアンバランス式のプリアンプです。

そういうユーザーにModel1を使っていただくには、RCA出力端子を装備すれば良かったのですが、完全差動アンプの出力の一方しか使わないのも勿体ないし、完全差動アンプの良さが十分に活きないと考えXLR端子のみにしてしまいました。


ところが、薄々わかってはいたのですが、私のオーディオ仲間を見渡しても、バランス入力のないアンプを使っている方が約5割であることがわかりました。

アンバランス入力のプリアンプユーザーにもModel1の性能を活かしきる形で使ってもらいたいと考えた場合、やはり出力アンプのバランス動作条件を著しく損なわないXLR-RCAの変換プラグが必要なようです。


実はネガティブ側をショートせず、しかも、ポジティブ、ネガティブの負荷が近い状態になるような変換プラグを実現することは可能なのです。実際、Model1の開発においてはアンバランス機器との接続は、そういう悪さをしないXLR-RCA変換プラグを作って対応していました。本当はそれを同梱することを考えていたのですが、XLRプラグの品位に問題があり、土壇場で断念したのです。


トランスレスバランス回路に使用しても、アンプに負担をかけず、さらに音質の劣化の少ないXLR-RCA変換プラグについては、Model1発売後も日々、なんとかしようと考えており、素材となる内外の様々なブランドのXLR-RCA変換プラグやXLRプラグなどを調べてきましたが、なかなか、これは!という製品に出会うことができませんでした。いっそ、削り出しで造ることも考えましたが、あまりにも高価になってしまい、これも選択肢とはなりません。AliExpressで中華製のパーツも調べましたが、仕様書が不満足でどのようなものかが特定できない。さすがにそれを選ぶことはできません。


悶々とした日々を送っていたのですが、ひょんなことから使えそうなパーツがみつかりました。


早速、購入し、構造を調べたところ、これならば、納得のいくXLR-RCA変換プラグをつくることが出来そうです。ただ、パーツコストと工数を考えると同梱するには、コストがかかりすぎることと、そもそもバランス入力で使うユーザーには無用なパーツでもありますので、オプションとして購入時に要否選択していただくことにしました。

価格等は未定ですが、完成次第、WEBで公開いたします。







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