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dvas9900

ゴールドムンド MIMEISIS 2+



お客様からゴールドムンドMIMEISIS 2+のメンテナンスのご依頼をいただきました。


お客様のところで音を聴いているときに特定の入力の片チャンネルのから音が出ないという問題です。私も同席しておりましたので、その場で問題個所の切り分け作業をじっくりと行い、結果MIMEISIS2+の問題と結論しました。


調べてみると、このアンプは入力セレクターに小信号用の高感度リレーを使っており、経時劣化により十分にありうる症状であったため、しばらくお預かりして全体的なチェックと、メンテナンスを実施します。


オリジナルモデルのMIMEISIS2はゴールドムンドのアンプデビュー作です。以降、ゴールドムンドは数えきれないほどのプリアンプをリリースしてきましたが、MIMEISIS2が最高に美しいと思っています。


今回、お預かりしたMIMEISIS2+は2シリーズの最終モデルであり、外観的には中央の三つのノブがレビンソンのLNP2風のものからローレット加工付きのゴールドムンドライクなものに変更されており、機能的にはフォノイコライザー用のDC出力とXLR出力端子がなくなっています。その代わりモジュールが金ぴか(笑)価格もオリジナルのだいたい二倍になっていますから、その辺もゴールドムンドですね。


まずは不具合の確認をしたのですが、故障あるあるで、再現しません(苦笑)


再現しないというのもリレーの故障の症状の一つですので、いずれダメになります。オリジナルパーツはすでに生産を完了しており、メーカーも存在しないようです。パナソニックに同型のパーツがありましたが、これもだいぶ前に生産を完了していました。


となるとピン互換があって外形が近いリレーを探すところから始めなくてはなりません。


リレーによって音質が違うのは会社員時代に経験しており、当時は入手可能であった多くのリレーを集め、その中からヒアリングテストを行い最高の音質のものを選択して製品に使っていました。性能的にはどれを使っても同じようなものでしたが、接点の構造、接点材質の違いなどにより、音質はかなり大きく異なることを学びました。本当はそういう選別をしたいところですが、まずはリプレースできることが最優先ですので、そのあたりは目利きで選ぶしかなさそうです。


MIMEISIS2+はフォノアンプを内蔵していないライン専用アンプですから、性能は良くてあたりまえ。実際、どの程度なのかとオーディオプレシジョンでざっと測定してみました。


結果は非常に興味深いものでした。こんなことを言うと皆さん驚くかもしれませんが、MIMEISIS2+の性能はマークレビンソンのLNP2Lに遠く及びません。


周波数特性もSN比も歪率も、代表的な静特性においてまるで勝負にならない。もちろん、MIMEISIS2+が悪いということではなく、LNP2Lが良すぎるのだと思います。だからといってMIMEISIS2+の音質がLNP2Lに劣るわけではないのは、言うまでもありません。


ただ、ちょっと意外だったのは周波数特性がLch、Rchで異なります。しかも低域のレスポンスが違う。これはどこかに問題があることを示しています。本来存在するはずのない特性です。


また、このアンプはちょっと変わった機能をもっていて、入力ごとにゲインを切り替えることができます。まあ、ゲインを切り替えているというより、すべての系に切り替え可能なアッテネータが入っており、その減衰量を入力ごとに設定することができるのです。入力インピーダンスも切り替えることができるのですが、その値がなんでこんな値で切替をするように設計したのかさっぱり理解できません。何か思うところはあったのでしょうが、抵抗ネットワークを組み込み切替SWをわざわざ搭載してまでも実装すべき機能だったのか?何を想定していたのか、設計者に聞いてみたくなりました。

で、そのアッテネータの位置で周波数特性が全く変わってしまいます。単なるアッテネータというよりもまるでフィルターです。


電源のフィルターコンデンサの容量はプリアンプとして考えても、かなり控えめな容量です。ゴールドムンドは大出力のパワーアンプでも数千μFのコンデンサしか搭載していなかったことで、かなり特殊な設計のアンプでしたが、プリも同じだったのだとわかりました。そのかわり、トランスはかなり大型のものを搭載しています。その後のゴールドムンドも同じ設計思想ですので、やはりここが原点なんですね。


どこまでやるかで、メンテナンスの費用も大きくことなりますので、この辺りはオーナー様と相談しながら進めていこうと思います。






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