LNP2Lとの組み合わせが素晴らしかったので、ちょっと古い(といってもLNP2Lよりは新しいですが笑)マッキントッシュのC34VをModel2と組み合わせてみました。
私がオーディオをはじめたころ、マッキントッシュの最高級プリアンプはC32でした。たしかヤマギワが輸入元で、価格は約80万円。マークレビンソンのLNP2Lがもっとも高価なプリアンプで、当時の価格は108万円だったと思います。だから、マッキントッシュのアンプって、到底高校生に手の届くようなものではなく、まさに高嶺の花。もっとも、この時の私は「こんな古めかしいラジオみたいなデザインのアンプ、絶対欲しくないよね」くらいに思っていました。
しかし、間もなく天変地異がおこります。C29の登場です。このアンプが私のマッキントッシュに対する偏見をすべて打ち崩したといっても過言ではありません。いまでも愛読しているステレオサウンド別冊の「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」という雑誌があるのですが、そこでC29は並みいる超高級プリアンプを相手に圧倒的な評価を得るわけです。上杉さんなどは唯一満点をつけたプリアンプ!と言い切りました。価格は55万円。当時のアキュフェーズの最高級機であるC240よりも15万円ほど高価ではありましたが、高嶺の花であったマッキントッシュが、頑張れば手が届くかも?という現実の世界におりたった気がしました。
高校の美術の先生が三年生の三学期にデザインを主題にした論文を提出せよという課題をだしました。
私は「プリアンプにみるオーディオ機器デザイン」的な内容のレポートを提出したのですが、そのときに素晴らしいデザインだと思うアンプとして、マークレビンソンLNP2、アキュフェーズC240、ヤマハC2、そしてマッキントッシュC29の4機種をあげ、それぞれがどのように素晴らしいのか?真剣にレポートをまとめました。それほど、いつのまにかマッキントッシュのアンプは私の中で完全に素晴らしいアンプとして位置付けられていたのです。
まもなくマッキントッシュはラインナップを一新して、フラグシップのプリアンプはC33になりました。この時代、つまりプリのC33、C29、パワーのMC2500、MC2255、MC2155の時代がマッキントッシュの黄金期であったように思います。
月日はながれ、私も社会人となり、結婚もしました。マッキントッシュのプリアンプもC33からC34Vへとモデルチェンジされ、パワーアンプもMC2500からMC2600となりました。C29のデザインを継承したモデルはリリースされずC33からパワーアンプをとったC30となりました。デザイン的にはC29しかないと思いつつも、日々眺めているとC32、C33、C34Vと脈々とづつく最高級ラインのデザインがだんだん素晴らしいものに思えてきます(笑)とはいえ、C34Vはモデルチェンジ直後は98万円もしたプリアンプですから、普通の会社員においそれと買えるようなものではありません。結婚していればなおさらです。
ところが、世は空前の円高時代。
C34Vの定価がみるみる下がって来たのです。98万円が68万円になり、ついには54万円となりました。マッキントッシュの最高級プリアンプがたった54万円です。しかも、並行輸入業者がステサンに広告をだしはじめ、ついには30万円強で憧れのC34Vが手に入る事態になったのです。
意を決して妻の承諾をえて、C34Vをオーダーしました。手に入れたときの嬉しさは例えようもありません。
あれから35年近い年月がたちましたが、C34Vを手放すことはなく、ずっと自分でメンテしながら傍らおいて愛用してきました。C52の導入とともに主役の座からはおりましたが、それでも手放す気持ちなど微塵もありません。
私の一番最初のマッキントッシュとして、ずっとそばに置いておきます。
で、Model2との組み合わせですが、C52とは異なる妖艶さがやはりC34Vにはあります。同じマッキントッシュではありますが、比べればC52は現代のアンプらしいワイドレンジで透明感の高さを意識させる音であると思います。ただ、頭で考える私のマッキントッシュの音はやはりC34Vなんですね。プリアンプの個性をあますことなく引き出す、Model2にはそういう能力があるように感じます。
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